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「型」の保管料を発注側が負担すべき類型と廃棄時期の目安

工場の海外移転などにより製造業の空洞化が進んだとはいえ、日本の産業の屋台骨を支えているのはいまだ製造業であることに異論は少ないだろう。その製造業に欠かせないのが「型」(金型・木型)だ。型は、「製造業における大量生産のために金属、樹脂、ガラスなどの素材を正確かつ迅速に成型することを目的に製作され、製品の外観の優劣、品質・性能あるいは生産性に影響を与える重要な役割を有しており、その役割の大きさから、型の生産額のうち、大半を占める金型については「製品の産みの親」などと呼称されている」(中小企業庁に設置された型取引の適正化推進協議会が2019年12月に公表した「型取引の適正化推進協議会 報告書」1ページ参照)という。

ところが近年、「型の管理」の問題が顕在化している。型は部品の量産を終えた後であっても、アフターサービス用の部品の供給に備えて保存しておく場合が少なくない。本来は、型の保存にかかるコスト(保存のためのスペース確保)は部品の発注側(下請法上の親事業者)が負担するのが“筋”だが、発注側が廃棄時期やコスト負担を曖昧にしたまま、受注側(下請事業者)に負担を長期間押しつけるケースが多いという実態がある。右肩上がりで製造業が伸びている間は、それが問題化することはなかった。部品の注文が相次げば、受注側も型の長期保存コストの負担以上に報われることが多かったからだ。しかし、国内製造業の空洞化に伴い国内の部品マーケットが縮小する中、量産が終了した製品の型を下請事業者に保管させる実務慣行が問題視されるようになった。・・・

■下請法 : 下請取引の公正化・下請事業者の利益保護のため、下請代金の支払い遅延禁止、下請け代金の減額の禁止、買いたたきの禁止など、親事業者と下請事業者の取引に関するルールを定めた法律。正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」である。

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