世間がコロナ禍に揺れる中、(2020年)6月8日、粛々と改正公益通報者保護法(以下、改正法)が成立した。今回の改正は同法の全体像を変えるものではないものの、「公益通報者の保護」が強化されることにより、結果として企業に大きな影響を与える改正項目が含まれている。改正法は公布の日(2020年6月12日)から2年以内に施行されることになっており、企業はそれまでに改正法への対応を図る必要がある。コーポレートガバナンス・コードには内部通報に関する下記の原則があり、公益通報者の保護の強化やその前提となる内部通報体制の整備義務が盛り込まれた改正法への対応状況が、これらのコードを「コンプライ」していると言えるかどうかも左右する可能性があろう。
【原則2-5.内部通報】 上場会社は、その従業員等が、不利益を被る危険を懸念することなく、違法または不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう、また、伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう、内部通報に係る適切な体制整備を行うべきである。取締役会は、こうした体制整備を実現する責務を負うとともに、その運用状況を監督すべきである。 |
補充原則2-5① 上場会社は、内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべきであり、また、情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきである。 |
本稿では、改正法のうち企業が押さえておくべきポイントを解説する。・・・
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