2021年3月1日に施行される改正会社法により、上場会社は取締役と執行役(以下、取締役等)への報酬として株式を「無償」で交付することが可能とされたところ(改正会社法202条の2)。既に取締役等に株式報酬を支給している上場会社は多いが、これまでは、取締役会等が会社への役務提供により得る「報酬債権」を会社に「現物出資」し、これと引き換えに株式の交付を受けるという何とも“技巧的”な支給手法がとられていた。これは、現行会社法が株式の発行は金銭等の「払込み」があることを前提としていることから、「株式をタダであげる(無償発行)」ことはできないため(2017年7月21日のニュース「株式報酬がシンプルに」参照)。しかし、冒頭で述べたとおり、改正会社法施行後はこうしたややこしい手法は不要となり、シンプルに「無償」で株式報酬を支給することが可能となる。今後は改正会社法に則った株式報酬の支給が一般化することになろう。
取締役等 : 監査役や子会社の取締役は含まれない。
それに先立ち、無償で株式報酬を支給するための会社法上の手続きや会計処理が明らかになったので、その留意点を嚙み砕いてお伝えしよう。・・・
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