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粉飾決算の“対価”

金融庁は(2021年)2月26日、中小型液晶パネル大手で現在経営再建中のジャパンディスプレイ(東証一部)に対する21億6333万4996円の課徴金納付命令を決定したことを公表した。これは、ジャパンディスプレイが架空の期末在庫の計上による売上原価の過少計上、販売見込みのない在庫の評価損未計上による売上原価の過少計上、収益の認識基準を満たしていない売上の計上、固定資産の過大計上などの粉飾をしていたことが、2016年3月期第3四半期以降に提出した四半期報告書および有価証券報告書等の虚偽記載(金融商品取引法違反)にあたるとの判断によるもの(同社の粉飾について調査した第三者委員会の調査報告書(2020年4月公表)はこちら。また、同社の粉飾の内容と原因については【失敗学第75回】ジャパンディスプレイの事例 を参照)。

ジャパンディスプレイに対する約22億円の課徴金は、金融商品取引法に基づく課徴金としては、東芝の約73億円日産自動車の約24億円に次ぐ史上3番目に多い額となる。課徴金の額がここまで膨れ上がったのは、同社が2016年12月21日に450億円の新株予約権付社債の募集をしており、その際に提出した有価証券届出書に虚偽記載があったとして、450億円の4.5%に相当する20億2500万円が課徴金に加算されたことが主因。

ジャパンディスプレイは納付命令を受けた課徴金の全額を支払う予定としつつも、既に2020年3月期第4四半期において、不適切会計関連費用の“一部”として22億円を特別損失の「その他」に見積計上済みであり、2021年3月期決算の損益への影響は軽微であるとしている。

実は、ジャパンディスプレイの粉飾の“対価”はこれだけでは収まらない。まず・・・

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