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バーチャルオンリー総会開催のための定款変更に関する想定問答

鳴り物入りで導入が決まったバーチャルオンリー株主総会(以下、バーチャルオンリー総会)だが、その根拠法となる産業競争力強化法の成立が、新旧対照表の一部に誤りが発覚したことなどにより遅れているのは既報のとおり(2021年5月24日のニュース「来年以降のバーチャルオンリー総会開催視野に定款変更実施する企業も 自社がとるべき対応は?」参照)。改正産業競争力強化法は「公布日(成立日)」から施行されることになっており、今国会が来週の水曜日(6月16日)までとされていることを踏まえると、今週の水曜か金曜には成立・施行される可能性が高いが、会社法が遅くとも株主総会の2週間前までに招集通知を発送することを求めている以上、ほとんどの上場企業にとってバーチャルオンリー総会の開催は事実上不可能になったと言える。

バーチャルオンリー株主総会 : リアル株主総会を開催せず、全出席者が遠隔地からインターネット等で参加する株主総会。日本の会社法では、株主総会を招集するには、開催する「場所」を定めることを求めていることから(会社法298条1項1号)、実現は困難とされている。
産業競争力強化法 : 日本経済の3つの歪みとされる「過剰規制」「過小投資」「過当競争」を是正するため、収益力の飛躍的な向上に向けた事業再編などの企業の取り組みを後押しする法律。

もっとも、当初から今年の6月総会は「様子見」というスタンスの企業が多かったことから、仮に産業競争力強化法が早期に成立していたとしても、バーチャルオンリー総会の開催に踏み切る企業は少数にとどまった可能性が高い。逆に言うと、検討・準備の時間が十分にある2022年の定時株主総会でバーチャルオンリー総会を開催しようという企業は一定数出て来ることが予想される。

改正産業競争力強化法上、バーチャルオンリー総会を開催するためには定款変更が必要であり、しかも、定款を変更するためには、「場所の定めのない株主総会(=バーチャルオンリー総会)」を開催できる旨を定款で定めることが「株主の利益の確保に配慮しつつ産業競争力を強化することに資する場合として経済産業省令・法務省令で定める要件()」・・・

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