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アクティビストに株式買い増しをしないよう求める総会議案の行方

アクティビストら「物言う株主」にはコーポレートガバナンス改革や資本効率の改善を後押しする一面があることは認めつつも、「アクティビストに自社の株式を持たれるのだけは勘弁して欲しい」というのが多くの上場会社の経営陣の本音であろう。自社の事業や業界への理解が不十分なまま短期的な利益回収を最優先しがちなアクティビストと、中長期の企業価値の向上を追求する経営陣とではそもそも考え方、価値観、スピード感が異なるため、両者の間ではどうしても軋轢が生じやすいからだ。とはいえ、上場会社である以上は誰でもその株式を証券取引所で売買できるため、外為法による規制に抵触する場合を除けば、アクティビストに株式の取得を禁止するすべはない。

外為法による規制 : 外国投資家が上場会社(指定業種に限る)の株式を1%以上取得する場合には原則として事前届出を求め、政府による審査の対象とする制度。指定業種には、武器、航空機、原子力、宇宙関連、軍事転用可能な汎用品の製造業、サイバーセキュリティ関連、電気・ガス、熱供給、通信事業、放送事業、水道、鉄道、旅客運送、生物学的製剤製造業、警備業、農林水産、石油、皮革関連、航空運輸、海運といった業種が該当する。

もっとも、上場会社がアクティビストに対し自社の株式を取得しないよう「要請」することは可能である。例えば、アクティビストが上場会社の株式を取得した後、両者が対話を行う中で企業価値向上に向けた考え方の違いが鮮明になったような場合だ。

このような交渉は水面下で行われるのが通常だが、株主総会という公の場において、「議案」の提出という形で明確に意思表示したのが・・・

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