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監査等委員会設置会社への移行で監査役を退任させるはずが逆の立場に

東京証券取引所が取りまとめた「東証上場会社 コーポレート・ ガバナンス白書」によると、東証に上場している会社のうち機関設計として「監査等委員会設置会社」を採用する会社は年々増加しており、2018年7月時点で24.7%(同白書2019の67ページより)、2020年8月時点にはついに3割を突破した(30.1%。同白書2021の79ページ参照)。

監査役会設置会社である上場会社が監査等委員会設置会社への移行を検討する理由の一つとして、監査役のうち社外性の要件を充たす者(社外監査役および「使用人の時期が10年以上前であった社内監査役」)を社外取締役に“横滑り”させ、社外取締役の数を容易に増やせるということがあるのは周知のとおり(2015年3月20日のニュース「監査等委員会設置会社への移行で監査役の処遇は?」を参照)。ただし、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に機関設計を変更する場合、会社法上、監査役は退任することとされており(会社法336条4項2号)、監査役を“横滑り”させるには、いったん退任した監査役を新たに取締役に選任する必要がある。この規定を悪用すれば、経営陣の意に沿わない任期未了の監査役を監査等委員会設置会社への移行を理由に“合法的”に退任させ、取締役に選任しないことで、ガバナンスを骨抜きにすることができる。この手法を用いて監査等委員会設置会社への移行を口実に監査役の追い出しを図ったのではないかとして話題になったのが、・・・

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