取締役の職務の執行を監査し、「不正を暴く側」の立場にある監査役は元々コンプライアンス意識が高く、「するべきことをしていなかった」という任務懈怠による責任追及を受けるようなケースはあっても、積極的に「不正をする側」に回ることは考えにくいのが通常だ。ましてや上場会社の監査役ともなれば尚更である。
実際、上場会社の監査役が積極的に不正を行った事例は極めて少ない。しかし、全くないわけでもない。例えば東証一部上場のプレス工業では、同社の健康保険組合の理事長を兼務していた監査役が健康保険組合の金銭に手を付けた事件が2010年に発覚している(本事件の詳細はこちらを参照)。手口は領収書のない経費の不正精算であった(金額は152 百万円)。
そして、今年(2021年)に入ってから発覚したのが、・・・
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