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内部統制が不十分な企業にペナルティも 有報への監査役報告導入案も浮上

会計監査の信頼性確保に向けた議論を行うため、金融庁の「会計監査の在り方に関する懇談会」が設置されたのは今から6年前の2015年10月だが、同懇談会が残した功績は大きい。同懇談会は2016年3月に「KAMの導入」「有価証券報告書等における、会計監査に関する開示内容の充実」「各企業における監査人の選定・評価のための基準の策定」「監査法人のガバナンス・コードの策定」などを提言(提言の内容はこちらを参照。また、監査法人のガバナンス・コードについては、2017年4月10日のニュース「監査法人のガバナンス・コード導入が企業に与える影響」を参照)。その後、開示府令が改正され有価証券報告書における会計監査に関する開示内容の拡充が図られるとともに、2021年3月期よりKAMが導入されるなど、同懇談会の提言は上場会社の開示や監査の実務に影響を与えた(KAMについては2021年9月14日のニュース「KAMが一つもないと判断された理由」を参照)。

その「会計監査の在り方に関する懇談会」が、座長を脇田 良一名古屋経済大学大学院教授から八田 進二青山学院大学名誉教授に交代したうえで、メンバーも入れ替え、新たに「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」(以下、令和3年度懇談会)として活動を再開している。2021年9月15日に開催された令和3年度懇談会の第1回の会合では、「内部統制報告制度が形骸化している懸念がある」「有価証券報告書の財務諸表に(ついての)監査役等による報告書を求めるべき」といった意見が出された。八田座長はもともと内部統制報告制度(J-SOX)が導入された際の旗振り役であり、同制度の“伝道者”として象徴的な存在であった。・・・

内部統制報告制度 : 上場会社におけるディスクロージャーの信頼性確保を目的として、財務報告に係る内部統制が有効に機能していることを経営者が自ら評価した結果を「内部統制報告書」として公表する制度。J-SOXとも称される。
監査役等 : 監査役会設置会社における監査役、監査等委員会設置会社における監査等委員、指名委員会等設置会社における監査委員を指す。

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