消費者庁は来年(2022年)6月1日からの改正公益通報者保護法(以下、改正法)の施行に先立ち、企業にとって改正法対応の拠り所となる指針(公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号) 以下、指針)を実務に展開するための解説(公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説 以下、指針の解説)をとりまとめ、(2021年)10月13日に公表している(改正法対応のポイントは2021年9月10日のニュース『取締役全員が「公益通報対応業務従事者」として刑事罰の対象となる恐れ』を参照)。
本指針の解説は、「指針」に沿って「①指針の本文」と「②指針の趣旨」を説明した後、「③指針を遵守するための考え方や具体例」と「④その他に推奨される考え方や具体例」を示す構成となっている。③と④の違いは、③が「事業者が指針を遵守するために参考となる考え方や指針が求める措置に関する具体的な取組例」、④が「事業者が指針を遵守するための取組を超えて、事業者が自主的に取り組むことが期待される推奨事項に関する考え方や具体例」と説明されていることから分かるように、④には強制力がないという点にある。事業者としては、まずは③に記載されている内容に取り組み、余力があれば④に記載されている内容についても取り組めばよい。取り組みの順番を意識するようにしたい。
現行の内部通報制度を改正法に対応した「内部公益通報制度」にアップデートする際には、③と④の違いを意識しながら指針の解説を読むのが効果的だ(以下、本稿では改正公益通報者保護法に対応した内部通報を、従来の内部通報との対比上、「内部公益通報」と呼ぶ)。もっとも、逐条的な指針の解説を眺めても“木を見て森を見ず”となりかねない。新たな内部公益通報制度のポイントである・・・
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