2014年6月30日のニュース「狙われる営業秘密、国に求められる対策は?」では、営業秘密の保護強化に向け国が行なうべき対応として、不正競争防止法の改正と営業秘密管理指針(*)の見直しを挙げたが、ようやく本格的な議論が始まった。これらの法律及び指針を所管する経済産業省は、経済及び産業の発展に関する重要事項を検討する産業構造審議会に「営業秘密の保護・活用に関する小委員会」を設置、同委員会で具体的な議論を行っていく。
同委員会の議論における重要論点の1つが、「秘密管理性」に関する営業秘密管理指針の見直しだ。そもそも「営業秘密」と認められるためには、(1)秘密管理性(秘密として管理されていること)、(2)有用性(生産方法、販売方法など事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること)、(3)非公知性(公然と知られていないこと)の3つの要件を満たす必要がある(不正競争防止法2条6項)。したがって、仮に企業が「営業秘密を侵害された」と訴えたとしても、それが「営業秘密」であると認定されなければ、企業の訴えは退けられてしまう。つまり、対外的には公表していない、有用な技術情報であっても、社内で秘密としてきちんとした管理がなされていなければ、営業秘密としては認められないということだ。
我が国の裁判でも、この「秘密管理性」については非常に厳しい判断が下されており、産業界には以前から強い批判の声がある。こうした中、9月30日に開催された第1回小委員会ではまさに「秘密管理性」がテーマとなり、産業界の有識者からは「企業の営業秘密は、使ってこそ価値がある。単に業務から切り離して隠せばよいというものではない」「『金庫に隠しておかなくては秘密管理性が認められない』というのは、(経済の健全な発展を目的とする)不正競争防止法の立法趣旨とも乖離している」との見解が示されている(実は委員会名が「営業秘密の保護・“活用”に関する小委員会」となったのも、こうした産業界の批判を受けたものである)。
また、従来の判例に対しても、・・・
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