政府が推進するペーパーレス化の“切り札”の一つである改正電子帳簿保存法の施行(2022年1月1日〜)が目前に迫っている(2021年3月1日のニュース「ペーパーレス化、リモートワーク普及に向けたボトルネックが解消へ」参照)。法人税法などは、正しく納税されているかどうかを後々検証できるよう、帳簿書類を一定期間(例えば法人税法上、帳簿書類は確定申告書の提出期限の翌日から7年間)保存することを求めている。電子帳簿保存法とは、企業等の保存コストを軽減するため帳簿書類を「電子データ」で保存することを認めるもの。2005年に導入されて以降、領収書や契約書のスキャナ保存を可能とするなど、度々要件が緩和されてきたが(過去の改正の経緯については、2016年10月5日のニュース「先月末から申請受付開始の電子データ保存、 事前に協議すべき事項は?」参照)、今回の改正はこれまでの中でもインパクトの大きいものとなっている。
今回の改正はペーパーレス化を後押しするための“要件緩和”の文脈で語られることが多いが、実はそうとは言い切れない。確かに、これまで必須とされていた「検索条件の設定」が簡素化(*)されるなどの改正は行われているが、その一方で、これまでは電子帳簿保存法の適用を受けていても「紙または電子データ」のいずれかで帳簿書類を保存していればよかったところ、改正後は「電子データのみ」での保存しか認められなくなる。
つまり、帳簿書類を紙で出力して持っていたとしても、電子データがなければ「帳簿書類の保存がない」とされてしまうということだ。この改正はペーパーレス化を推し進めるかもしれないが、電子データでの保存がマストとなったことで、企業の間では「多額のシステム投資が必要になるのでないか」との懸念が広がっている。
こうした中、国税庁は・・・
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