印刷する 印刷する

「他社での経営経験を有する者」のみを社外取締役とすることの是非

上場会社における独立社外取締役というと、弁護士や公認会計士といったいわゆる士業が就任するケースが比較的多いイメージがあろう。独立社外取締役に占める士業の割合が増えているのは事実だが、独立社外取締役の属性として最も多いのは「他の会社の出身者」であり、2021年の東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書によると、独立社外取締役のうち58.5%(2020年の調査結果)が「他の会社の出身者」となっている(同白書の99ページ参照)。

「他の会社の出身者」が「経営経験」まで有していれば、その経験を自社にフィードバックしてもらうことが期待できる。2021年6月に行われたコーポレートガバナンス・コードの改訂では、このようなメリットを考慮して、補充原則4-11①に「独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべき」との文言が追加されたところだ。さらに「他の会社の出身者」が「現役」の経営者であれば、経営者としてのリアルタイムの知見を提供してもらうことが期待できるだけに、現役経営者が独立社外取締役候補者として人気が高いのもうなずける。

もっとも、上場会社の現役経営者は多忙を極めており、別の上場会社の社外取締役を務めるほどの時間的余裕がないのも事実。また、当該経営者が所属する上場会社の株主の中には、「他社に貢献する暇があるなら、もっと自社の企業価値を向上させて欲しい」として、他社の社外取締役に就任することへの反対論もあろう。それでも、他社の経営者を社外取締役に招聘する上場会社は多い。しかし、他社の経営者ばかりを独立社外取締役として揃えるのも考えものと言える。それを再認識させることとなったのが、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから