印刷する 印刷する

ネットが使えない株主向け書面の簡略化案が明らかに

2023年3月から株主総会資料の電子提供制度がスタートし、上場会社は株主総会資料を原則としてインターネットで提供すればよいことになる。ただし、インターネットが使えない株主への配慮として、例外的に「書面による株主総会資料の受け取り」を希望する株主には書面(電子提供措置事項記載書面)を交付しなければならない。インターネットを使える通常の株主と使えない一部の株主との間で生じるデジタル・ディバイド(格差)を埋めるための措置とはいえ、株主総会資料の書面交付を請求する株主が一人でもいる限り、上場会社は電子提供措置事項記載書面を作成せざるをえず、当該書面の印刷、郵送の手間やコストの発生は不可避となる。こうした中、上場会社からは「せめて電子提供措置事項記載書面の記載事項を簡略化して欲しい」といった声が挙がっていた。

デジタル・ディバイド : ICTに関する知識の有無による情報格差や経済格差のこと。

当フォーラムでは、そのような上場会社の声やコロナ禍で急速に進む経済社会の電子化などの流れを受け電子提供措置事項記載書面の簡略化を図る省令改正の動きがあることをお伝えしたところだが(2022年8月3日のニュース「デジタル化推進とネットが使えない株主への配慮」を参照)、法務省が2022年10月7日に公表した「会社法施行規則等の一部を改正する省令案」(以下、公開草案)でその詳細が明らかになった(パブコメの募集は2022年11月7日まで)。

公開草案では、これまでは電子提供措置事項記載書面への記載が求められていた「事業報告に記載又は記録すべき事項のうち役員の責任限定契約に関する事項、事業の経過及びその成果、対処すべき課題、補償契約に関する事項及び役員等賠償責任保険契約に関する事項、貸借対照表及び損益計算書に記載又は記録すべき事項並びに連結貸借対照表及び連結損益計算書に記載又は記録すべき事項」が、同書面に「記載することを要しない事項」に追加されている(法務省の概要説明を参照)。ただ、公開草案には電子提供措置事項記載書面への記載が必要となる項目が列挙されているわけではないため、公開草案を一読しても具体的な電子提供措置事項記載書面をイメージしづらい。そこで当フォーラムでは、株主総会参考書類、事業報告、計算書類のそれぞれについて、現行規定および公開草案に基づき、電子提供措置事項記載書面に記載すべき事項を表形式でまとめたので、参考にされたい。下表中、緑色に塗られた箇所が公開草案により電子提供措置事項記載書面への記載が簡略化された項目であり、公開草案の列に「〇」がついている項目は公開草案どおりに会社法施行規則が改正された場合であっても、電子提供措置事項記載書面への記載を免れない項目となる。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから