周知のとおり、東証上場会社のうち上場維持基準を満たしておらず、経過措置の適用を受けている会社(以下、経過措置適用会社)は、上場維持基準の適合に向けた計画等(以下、適合計画)の開示が求められることになる。東証によると、経過措置適用会社は2022年10月末現在で507社あり、その内訳はプライム市場271社、スタンダード市場194社、グロース市場42社となっている(なお、これまでに適合計画を開示した会社は586社あるが、そのうち67社は既に基準に適合し、12社は非公開化に伴い適合計画を取り下げている)。経過措置終了時に上場維持基準に適合しておらず、さらにそこから1年間の改善期間を経ても適合に至らなければ、監理・整理銘柄への指定を経て上場廃止になってしまう。既上場会社にとって、「上場会社でなくなる」ことのインパクトは大きい。新市場区分に移行(2022年4月4日~)してから1年という節目が近づく中、経過措置適用会社の経営陣や投資家の間では「経過措置はいつ終了するのか」という、不安の入り混じった関心が益々高まっている(後述するとおり、他の市場に上場するという選択もあり得る)。こうした中、東証に設置された「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)で、経過措置の終了時期がおおむね固まった。・・・
上場維持基準の適合に向けた計画等 : 上場会社が、上場維持基準のいずれかに適合しない状態となった場合に提出を求められる 「上場維持基準の適合に向けた計画」および「計画に基づく進捗状況」を指す。「上場維持基準の適合に向けた計画」には、上場維持基準の適合状況、計画期間並びに上場維持基準の適合に向けた取組の基本方針、課題および取組内容を記載する。また、「計画に基づく進捗状況」には、上場維持基準の適合状況の推移および計画期間、取組の実施状況および評価、上記2つの項目を踏まえた今後の課題・取組内容を記載する。
監理・整理銘柄 : 上場廃止基準に該当し、上場廃止が決定した銘柄のことを「整理銘柄」というが、上場廃止が決定した場合には、投資家が整理売買を行うことができるよう、原則として1か月間、整理銘柄に指定し、上場廃止の事実を投資家に周知させる。これに対し、上場廃止基準に該当する恐れがあるものの上場廃止が決定したわけではない銘柄は「監理銘柄」に指定され、その後上場廃止が決定した場合に整理銘柄に指定されることになる。
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