広告である旨明示せず、有名人にSNS等へ商品・サービスへの高評価の投稿をさせたり、インターネット上に記事を掲載したりする行為は「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれている。ステルスマーケティングに関する検討会が2022年12月28日に公表した「ステルスマーケティングに関する検討会 報告書」(以下、本報告書)によると、マーケティングの現場からは『ステルスマーケティングの売上に対する効果は高く、「広告」である旨明示しない広告は、少なくとも確実に20%程度は増加するという体感を持っている。これは広告主にとって非常に魅力的な数字になっているはず。(広告代理店)』や『広告宣伝を行うインフルエンサーによっては、ステルスマーケティングによって、「大手ECサイトで一気に売上ランキングで20位程度上がることや、売上が数倍程度になるなど、大きな広告効果がある。景品表示法で規制されていない以上、広告主にとってはステルスマーケティングを行う大きなインセンティブになる。(PR会社)』といった声が紹介されている(本報告書の10ページ)。また現役のインフルエンサーにアンケートを行ったところ、回答者の41%(123人)が「これまでにステルスマーケティングを広告主から依頼された経験がある」と回答し、そのうち約45%(55人)のインフルエンサーが、その依頼を「全部」または「一部」受けたと回答するなど、ステルスマーケティングが横行している様子がうかがえる(本報告書の10ページ)。
ステルス : ステルスには「隠密」「こっそり行う」といった意味がある。
インフルエンサー : 世間に与える影響力が大きい人物
こういったステルスマーケティングは、消費者の合理的な選択を阻害するものとして問題視されているものの、日本にはステルスマーケティングに対する法規制がないため、広告主にとって“ステマ天国”となっていることは2022年10月20日のニュース「“ステマ天国”日本、ようやく消費者庁が規制強化へ」でお伝えしたとおりだ。この状況を変えるべく立ち上げられたのがステルスマーケティングに関する検討会であり、その検討会が2022年12月28日に公表した上記の本報告書において「ステルスマーケティングに対して法規制を行うべき」という結論を出したことは評価に値する。これにより、日本も“ステマ天国”の汚名返上に向けようやく第一歩を踏み出したことになる。本稿では同検討会が想定している規制手法を中心に詳報する。・・・
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