2014年8月25日のニュース「最低賃金引上げが及ぼす上場企業への影響」でお伝えしたとおり、この10月から改定された最低賃金は、「生活保護水準との乖離解消」のため、すべての都道府県で従前よりも13円以上の大幅アップとなっている。
これを受けて、上場企業の中にも、賃金を見直し、必要があれば臨時昇給等の措置を講じたところもあるだろう。
ただ、賃金の見直しにより最低賃金をクリアしたようでも、よくよく見ると、依然として最低賃金を下回っている事例が散見されるので要注意だ。例えば、清算期間を1か月とするフレックスタイム制を導入している場合に、すべての月において所定労働時間を「171時間25分(30日分)」と設定して賃金を計算していると、大の月(1か月が31日ある月)では不足が生じてしまったり、また、「定額残業代」(「固定残業代」とも呼ばれる)を支払っている場合に、その前提とした見込み残業時間(1か月あたり30時間としておく例が多い)を実際の残業時間が上回ったりして、割り戻した単価が最低賃金未満になってしまうこともある。
このように最低賃金を下回る賃金は、たとえ労使双方がその賃金額に合意していたとしても無効となり、会社は最低賃金額以上の賃金を改めて支払わなければならない(最低賃金法4条)。そして、最低賃金法に違反した会社には50万円以下の罰金が科せられることとされている(同法40条)。
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