マイクロソフト、Google、iPhone、Amazon、コロナ禍で急速に普及したZOOMなど、続々と巨大企業が出現する米国に比べると、日本ではそもそも新たな産業や科学技術が生まれていないと指摘されるようになって久しい。こうした状況を改善すべく、政府は企業に研究開発投資を促しているが(例えば、令和5年度税制改正では研究開発税制を見直し、試験研究費の増減割合に応じて、法人税額から控除できる金額の上限が従来より急角度で変動する仕組みを導入している。経済産業省の資料20ページ参照)。研究開発が成功するかどうかは結局は従業員等の能力、すなわち「人的資本」によるところが大きい。自社の研究開発を担う優秀な人材の採用や教育、そしてマネジメントは、人的資本経営の中でも極めて重要性が高いと言えるだろう。
研究開発税制 : 企業による研究開発を促進することを目的として、法人税額から、試験研究費の額に応じた税額控除割合を乗じて算出した金額を控除できる税制優遇措置。
人的資本経営 : 会社で働く従業員をコストとして見るのではなく、事業の価値を向上させる投資対象として位置づけて経営すること。
研究開発業務従事者(以下、研究職)のマネジメントとして経営陣が意識する必要があるのが「ワークライフバランス」だ。実は研究職は、ともすれば“ブラック”な労働環境に置かれかねない。
周知のとおり、・・・
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