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フリーランスとの付き合い方、変革が必須に

自社の製品の製造工程の一部や自社サービスのプログラムやコンテンツの開発などを個人の外注先に委託するケースは少なくない。また、円満退社して独立開業した元従業員に従来の業務の一部を委託するケースもよくある。業務だけでなく、福利厚生の一環から、英会話講師やマッサージ師と契約して定期的に来社してもらい、従業員が英会話レッスンやマッサージを受けられるように制度を整えている会社もある。こうした外注取引において、特に個人で業務を受託している者()は、フリーランスと呼ばれている。

会社形態にはしているものの、従業員がおらず、社長が一人で業務をこなしている場合も含む。農林漁業従事者は含まない。

内閣官房の調査によると、フリーランスは日本全体で少なくとも462万人いると言われている(2020年の調査)。組織のしがらみを嫌い、自由な働き方を求めて、会社勤めからフリーランスに転じる者も多い。ただ、フリーランスは対事業者との取引において交渉力に乏しいことから弱い立場に置かれがちであり、発注者から低報酬で無理難題を押し付けられる事例も少なくない。内閣官房の新しい資本主義実現会議事務局等が実施した「令和4年度フリーランス実態調査結果」によると、「発注者との取引の中で、次のようなあなたが納得できない行為を受けたことがありますか(複数回答可)」との設問に対して、「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」と回答したフリーランスが11.8%、「あらかじめ定めた報酬を減額された」と回答したフリーランスが8.5%いた(48ぺージのQ1-1)。また、「発注者から納得できない行為を受けた場合、どのように対応しましたか」との設問に対して、32.6%のフリーランスが「そのまま受け入れた」と回答している(50ぺージのQ2)。

このように弱い立場に置かれがちなフリーランスだが、実態が労働者であると認められない限りは労働関係法令が適用されないため、法律上の保護が手薄となっており、フリーランスが安心して働くことができる環境の整備が急務となっている。こうした背景の下、フリーランスと事業者間の取引を適正化し、フリーランスが安心して働くことができるようにするため、・・・

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