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「日本版Sell-to-Cover」解禁も、いまだ残るインサイダーリスク

金融庁の証券取引等監視委員会が平成20年 11月18日 に制定した「インサイダー取引規制に関するQ&A」に、昨年(2023年)来、「株式報酬の利用を促進するための新たな解釈指針」が段階的追加されている。先日4月19日には、応用編問9および問10という2つの新たな解釈指針が再び追加されたところ。 応用編問9では、いわゆる事後交付型RSUPSUにおいて、ベスティング時(権利確定時)に自己株式の処分を通じて現物株式を付与してもインサイダー取引規制違反にはならない旨が明確化され、昨年12月8日に追加された応用編問8(事前交付型である譲渡制限付株式(RS)を自己株式の処分を通じて付与する場合にはインサイダー取引規制違反にならない旨を明確化したもの)の指針を事後交付型にも拡張したものと位置付けられる。今回注目すべきは応用編問10だ。


事後交付型 :取締役等と会社の契約において、株式の発行等について権利確定条件が付されており、権利確定条件が達成された場合に株式の発行等が行われる仕組み。
RSU :譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック)には、株式交付のタイミングによって、「事前交付型」(リストリクテッド・ストック(略称:RS))と「事後交付型」(リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU))に分けられる。事前交付型は、取締役等の報酬対象勤務期間の開始後、速やかに取締役等に株式の発行(or自己株式の交付)を行い(この時が会社法上の「割当日」に該当)、取締役等と会社の契約において、当該株式に譲渡制限を付しておき、権利確定条件(例えば「3年間勤務する」「3年後に株価を倍増させる」など)が達成された場合に譲渡制限が解除され(すなわち、取締役等は当該株式を売却して換金できる)、権利確定条件が達成されない場合には企業が無償で株式を取得(没収)する仕組み。事後交付型とは、取締役等と会社の契約において、株式の発行等について権利確定条件が付されており、権利確定条件が達成された場合に株式の発行等が行われる仕組み。
PSU :「パフォーマンス・シェア」とは文字通り一定期間(以下、業績等評価期間)における「業績」や「株価」によって交付する株式数が変動するタイプの株式報酬のこと。業績評価期間の最初に株式を交付するものは単に「パフォーマンス・シェア(通称:PS)」と呼ばれるが、まずポイント(ユニット=単位)を付与し、業績等評価期間終了後に評価の結果に応じてポイント数を変動させ、当該ポイントに応じた株式を交付するのが「パフォーマンス・シェア・ユニット(通称:PSU)」である。業績や株価条件のある株式交付信託は、パフォーマンス・シェア・ユニットに区分される。
ベスティング :権利を付与されてから権利行使可能になるまでの期間のこと。ベスティング(vesting)とは「権利確定」という意味である。
事前交付型 :取締役等の報酬対象勤務期間の開始後、速やかに取締役等に株式の発行(or自己株式の交付)を行い(この時が会社法上の「割当日」に該当)、取締役等と会社の契約において、当該株式に譲渡制限を付しておき、権利確定条件(例えば「3年間勤務する」「3年後に株価を倍増させる」など)が達成された場合に譲渡制限が解除され(すなわち、取締役等は当該株式を売却して換金できる)、権利確定条件が達成されない場合には企業が無償で株式を取得(没収)する仕組み。一方、「事後交付型」とは、取締役等と会社の契約において、株式の発行等について権利確定条件が付されており、権利確定条件が達成された場合に株式の発行等が行われる仕組みであり、RSU(リストリクテッド・ストック・ユニット)は「事後交付型」に該当する。
譲渡制限付株式(RS) :一定期間の譲渡制限が付された株式報酬で、企業が株式を無償取得することとなる事由(没収事由:例えば所定の期間勤務を継続しないなど)が定められているものを指す。「リストリクテッド・ストック」という呼び方も定着している。
譲渡制限付株式(RS) : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬で、企業が株式を無償取得することとなる事由(没収事由:例えば所定の期間勤務を継続しないなど)が定められているものを指す。「リストリクテッド・ストック」という呼び方も定着している。

応用編問10は、・・・

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