周知のとおり、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す手法を「ステルスマーケティング」(以下、ステマ)と言う。ステマの代表的な手口は次のとおり。
ステルス : ステルスには「隠密」「こっそり行う」といった意味がある。
例えば、広告主の依頼であるにもかかわらず、 ・有名人が商品・サービスと一緒に取った写真を広告であると明示せずに宣伝すること ・商品・サービスについて、広告である旨明示せず、「よかった」や「おすすめ」といった感想の体裁をとって、SNS等に投稿すること ・インターネット上の記事に広告である旨を明示しないこと ・商品・サービスの比較ランキングに広告である旨を明示しないこと ・ECサイト上において、広告である旨を明示せず、商品・サービスの使用感等のレビューをすること |
ステマの広告効果は、広告代理店に『「広告」である旨明示されていない広告(純粋な感想や口コミと思わせる広告)の方が一般消費者を誘引し、売上につながることは多い』『ステルスマーケティングの売上に対する効果は高く、「広告」である旨明示しない広告は、少なくとも確実に20%程度は増加するという体感を持っている』と言わしめるほど高い(消費者庁ステルスマーケティングに関する検討会の第1回会合の資料4「ステルスマーケティングに関する実態調査」21ページより引用)。ステマの広告効果の高さに加え、最近はネットショッピングやSNSの普及に伴い、ECサイトのレビュー欄やインフルエンサーのInstagramを通じた口コミマーケティングの有効性が認識されるようになったことも、B2Cにおいてステマがはびこる一因となっている。
インフルエンサー : 世間に与える影響力が大きい人物
日本にはステマを規制する法律がなかったため、長いこと“ステマ天国”と揶揄されてきたが、ようやく昨年(2023年)10月、景品表示法の規制対象に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」としてステマが加えられ(ステマが景品表示法の規制対象となった経緯については2023年1月17日のニュース「“ステマ天国”の汚名返上に向けた第一歩まずは広告主を告示で規制」を参照)、今年(2024年)の6月7日にはステマ規制の適用第1号事案が公表されるに至った(ステマ規制第1号事案の詳細は2024年6月18日のニュース「ステマ規制に措置命令、第1号事案から読み解く規制内容」を参照)。
第1号事案の公表から約2か月後の8月9日、ステマ規制第2号事案として公表されたのが、・・・
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