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欧州のサステナビリティ開示規制に向け日本企業の役員がとるべき対応は?

株式会社レクタスパートナーズ 代表取締役 藤澤正路

「アルファベットスープ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは、TCFDSASBISSBSSBJなどといった、昨今のサステナビリティ関連の英語の略称の多さを揶揄したものである。ここで挙げた略称より一般的な知名度は劣るものの、欧州に重要拠点を持つ企業であれば必ず押さえておく必要があるのが、CSRD、ESRS、CSDDDの3つのワードだ。


TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードとなっている。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
SASB : SASB(サステナビリティ会計基準審議会=Sustainability Accounting Standards Boad)は2011年に設立された米国に拠点を置く団体であり、持続可能性が財務に与える影響を投資家に報告するフレームワークであるSASBスタンダードを策定した。SASBスタンダードは、11セクター・77 産業について、産業ごとに企業の財務パフォーマンスに影響を与える可能性が高いサステナビリティ課題を特定している点に特徴がある。SASBは、統合報告書の作成についての考え方をまとめた「国際統合報告フレームワーク」を策定したことで有名なIIRC(国際統合報告評議会=International Integrated Reporting Council)と合併してVRF(=Value Reporting Foundation)となり、さらにVRFは2022年6月にISSBに統合された。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
ISSB : 「International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)」の略称。資本市場向けのサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを開発するため、IFRS財団が2021年11月に設立した団体。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
SSBJ : 日本における非財務開示の基準を作成する団体。IFRS(国際財務報告基準)の母体であるIFRS財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB=International Sustainability Standards Board)」を設立し、非財務開示の国際的な基準「サステナビリティ報告基準」を策定することを受け、日本では財務会計基準機構(FASF)が母体となり、IFRS財団におけるISSBに相当するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が2022年7月1日に設立された。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

CSRDは「Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令」、ESRSは「European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準」、CSDDDは「Corporate Sustainability Due Diligence Directive:企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令」を指す。「Directive」「Standard」という単語が含まれていることから分かるように、CSRDとCSDDDは「指令」、ESRSは「基準」である。それぞれの関係性は、・・・

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