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ストックオプション・プール特例に潜むリスク

上場準備中の非公開会社では、産業競争力強化法のストックオプション・プール特例を利用することで、株主総会でストックオプションの権利行使価額と権利行使期間を決定せずに、その決定を取締役会に委任できるようになるとともに、取締役会への委任期間も会社法上の「1年」から最大「15年」に延長される。さらに、ストックオプション・プール特例を利用したストックオプションは、税制適格ストックオプションとしての要件を満たしている限りストックオプション税制を活用できることも、経済産業省が公表した解説により明確になった。


産業競争力強化法 : 日本経済の3つの歪みとされる「過剰規制」「過小投資」「過当競争」を是正するため、収益力の飛躍的な向上に向けた事業再編などの企業の取り組みを後押しする法律。
税制適格ストックオプション : 税法が求める要件を満たすことで、権利行使によって株式を購入した時点で生じている含み益(株式の購入価格-ストックオプションの発行費用)への課税が、実際に株式を売却する時点まで繰り延べられる(=株式を購入した時点で課税されない)ストックオプションのこと。具体的な要件としては、無償発行、権利行使期間が「株主総会での発行決議の2年後~15年後までの最大13年間」、行使価格が発行時の時価以上、権利行使金額が「最大で年間3,600万円まで」などがある。

(関連ニュース)
2024年9月5日のニュース『ストックオプション・プールがスタート、税制適格ストックオプションとして付与可能
2024年7月25日のニュース『ストックオプション・プール導入で、CVCの投資先から「法人」としてストックオプションの付与を受けることも可能に
2024年3月12日のニュース『「ストックオプション・プール」創設へ 上場を目指す子会社やCVCの投資先で活用も

ただ、一部の専門家からは、ストックオプション・プール特例について「そこまでメリット感を感じない」「使い方によってはせっかくのメリットもなくなる」といった声が上がっている。本稿ではその真偽を検証したい。・・・

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