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取締役会決議の不存在発覚後の対応

取締役会での決議が必須とされる事項を「決議を経ずに」実行してしまう事例は、企業規模を問わず発生している。社内規程で、固定資産の取得・売却など一定金額以上の取引を取締役会決議事項と定めている企業は多いが、現場担当者の失念や手続きの錯誤により、取締役会決議を行わないまま契約や引渡しが完了してしまうことは珍しくない。このような場合、「既に取引は終わった」「株主総会と違い外部に露見する可能性は低い」「役員が一部入れ替わっており、今さら諮りづらい」と考え、事後決議はおろか取締役会での共有をためらう役員も存在するかもしれない。しかし、これは極めて危うい判断である。

会社法上、取締役会設置会社においては、「一定の重要事項」(会社法362条4項)を取締役会決議によることが義務付けられている。したがって、例えば固定資産の売買が完了したとしても、それが取締役会の決議を経ていなければ、法的には未決議の状態が継続していることになり、株主や監査役から手続違反を指摘される可能性が残る。場合によっては、固定資産の売買の無効・違法性が争われ、取締役が善管注意義務・忠実義務違反(会社法355条、423条)に基づく損害賠償責任を問われる事態も想定される。


会社法362条4項 : 取締役会は、「重要な財産の処分及び譲受け」「多額の借財」「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」等の事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない旨を定めている。

「取締役会決議の不存在」の発覚後は、事後であっても速やかに取締役会に付議し、正式に採決すべきである。なぜなら、事後決議により、未決議という不完全な状態は解消され、瑕疵が一定程度追完されるからだ。事後的に取締役会決議を行う場合、次の点に留意する必要がある。・・・


瑕疵が一定程度追完 : 瑕疵の追完とは、決議が存在しないというミスがなくなったかのように評価されること。もっとも、追認(事後決議)後も、当初の不作為については取締役の責任が問われ得るため、「一定程度」と記載した。

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