我が国の少子高齢化は年々深刻化している。その影響は企業にも及んでおり、いかにシニアを有効活用するかは経営課題の1つになっている。
とはいえ、シニアの活用には年齢的な限界もあり、また会社側の人件費の問題もある。厚生労働省の調査によると、現在約8割の会社が定年を「60歳」と定めているが、2012年に改正された高年齢者雇用安定法(2013年4月から施行)により、65歳までの雇用が義務付けられている。そこで60歳定年制を採用している会社では、定年を迎えた従業員が引き続き雇用を希望した場合は、「再雇用」(継続雇用、嘱託と呼ばれることもある)として労働契約(そのほとんどが有期契約)を締結しているのが実状だ。
ところが、2013年4月から改正・施行された労働契約法では、「通算5年を超えて更新された有期契約」は労働者の申し出により無期契約に転換されることになっている(同法18条)。つまり、例えば定年後5年間の再雇用後にもさらにシニアを雇い続けた場合には、この「通算5年を超えた有期契約」に該当し、本人の申し出によりこれが無期契約(文字通りの「終身雇用」)に転換してしまう。これは会社にとってリスクが高いことから、たとえ本人が65歳を超えても働きたいと願い、会社もそれを求めていたとしても、65歳で雇用を終わらせなければならないという問題点が、特に経営サイドから指摘されていた。
こうした中、この問題を解消する法律「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が昨年秋の通常国会で成立し、今年(2015年)4月1日から施行されることになっているので押さえておきたい。具体的には、・・・
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