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食品偽装表示問題きっかけに、すべてのBtoC取引対象に課徴金制度導入へ

 昨秋、各地で食品の偽装表示問題が相次いだが、今後、一連の事件をきっかっけに法改正が実施され、食品業界以外のみならず、BtoC取引を行うすべての企業が対応を迫られることになりそうなので要注意だ。

 現在、広告やメニューといった消費者に対する表示は、「景品表示法」により規制されており、同法は、製品・サービスが実際のものより著しく優良であると誤認される表示を「優良誤認」として禁止している(景品表示法4条1項1号)。例えば昨秋に問題となったケースでは、実際にはバナメイエビを使用しているにもかかわらず「芝エビ」と表示をしていたことが優良誤認に該当するとされた。

 問題発覚後、消費者庁は百貨店や旅館・ホテルの関係団体に対して景品表示法の考え方および違反事例の周知を行ったものの、政府部内からは「一連の事件は経営体質や商慣行に原因があり、景品表示法の改正による抜本的な対策が必要」との声が上がっていた。

 改正が見込まれる内容として注目されるのは次の2点だ。

 まず、「課徴金」の導入である。現在、景品表示法の違反に対しては、行政が違反行為の差し止め命令を出し、それに従わない場合に罰金を課す「間接罰」が設けられている。課徴金の導入は、より抑止効果を高めるために、景品表示法違反に直接罰金をかけようというものである。

 もう一つは、役員クラスの表示責任者の設置義務付けである。現場の判断だけではなく、役員を表示問題のトップとする社内のチェック体制の整備が違反の抑止には不可欠との判断に基づくものだ。

 ただ、このうち課徴金の導入については、企業の広告・表示活動に直接的に影響を及ぼすことが考えられ、それゆえ対象を明確にする必要があることから、法改正にはもうしばらく時間を要しそうだ。

 これに対し、早期に着手が可能な「役員クラスの表示責任者の設置義務付け」は3月11日に改正法が閣議決定されており、近いうちに法改正が行われる見込みだ。企業としては、自社においてどのように表示が決められているか、「社内チェック体制」を早い時期に確認しておく必要があるだろう。