本則市場に上場している企業の取締役会は、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)の原則4-14により、取締役・監査役に「トレーニングの機会の提供・斡旋」や「その費用の支援」を行うだけでなく、「こうした対応が適切にとられているか否かの確認」をすることが求められている。
【原則4-14.取締役・監査役のトレーニング】 新任者をはじめとする取締役・監査役は、上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすため、その役割・責務に係る理解を深めるとともに、必要な知識の習得や適切な更新等の研鑽に努めるべきである。このため、上場会社は、個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの機会の提供・斡旋やその費用の支援を行うべきであり、取締役会は、こうした対応が適切にとられているか否かを確認すべきである。 |
本原則のコンプライ率は極めて高い。CGコード導入初年度(2015年)で既に98.1%のコンプライ率だった(東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果」(2015年12月末時点)を参照)が、最新の東証の調査(2017年7月14日時点)では99.09%と、全企業がコンプライするまであと少しという状況となっている。
ただ、本原則の“コンプライの程度”は企業によってかなり異なるのが実態だ。役員のトレーニングに熱心に取り組んでいる企業もあれば、残念ながら“形式的なコンプライ”にとどまっている企業も少なくない。
例えば下記のような取り組みをもって「原則4-14をコンプライしている」としている企業はよく見受けられるが、役員トレーニングを実施する目的が取締役会の質の向上にあることを考えると、十分とは言えないだろう。・・・
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