大手名門企業における品質不正が相次いだことなどを受け、東京証券取引所などとともに日本取引所グループを構成する日本取引所自主規制法人は本日(2017年2月21日)、「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」(案)を公表した。3月14日までパブリックコメントを募集したうえで、3月中には正式決定される見込み。
日本取引所自主規制法人 : 取引所における市場取引の公正性や上場商品の品質を確保する役割を担う法人。いわば “取引所の品質管理センター”と言える。東京証券取引所などとともに日本取引所グループを構成するが、中立性等を確保するため、取引所とは別法人の形態をとっている。
文字通り上場会社における不祥事“予防”を目的とする「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」は、プリンシプルという言葉が示すように、有価証券上場規程のような細則を定めた「ルール」ではない。このため、仮に本プリンシプルを遵守しなかったとしてもペナルティはなく、また、コーポレート・ガバナンス報告書で本プリンシプルの遵守状況の開示が必要となるわけでもない。
プリンシプル : 大まかな原理・原則のことで、細かな運用は現場の判断に任せられる。プリンシプルの反意語がルール(細則)である。プリンシプルは、一般的なルールとは異なり、ペナルティがないのも特徴。プリンシプルに基づく規制方法をプリンシプルベース・アプローチ(原則主義)という。
とはいえ、不祥事を予防する仕組み・体制作りに取り組むのは上場会社の責務であり、その際、本プリンシプルは参考になる。となみに、日本取引所自主規制法人は、迅速かつ的確な情報開示など不祥事発生“後”の対応方針を定めた「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を2016年2月に策定済みであり、今回の不祥事の予防を目的としたプリンシプルと合わせ、不祥事の”前後”のプリンシプルが揃うことになる。上場会社は今後2つのプリンシプルを「車の両輪として位置付け、実効性の高い取組みを推進」(本プリンシプル案の前文より抜粋)していく必要がある。
本プリンシプルでは、6つの原則と各原則の解説の後に、「不祥事につながった問題事例」が紹介されているが、原則を理解するためには“逆から読む”、すなわち、・・・
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