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策定中のコーポレートガバナンス・コードで注目の“株主総会遅延化”、決算早期化の流れを変えるか?

 コーポレートガバナンス・コードとは、独立役員設置など上場企業等のコーポレートガバナンス上の諸原則を示すもので、イギリス、フランス、ドイツなどでは既に導入されている(イギリスのコーポレートガバナンス・コードに関する話題は2014年7月18日のニュース「「継続企業の保証」は取締役の責任?本家・英国コーポレートガバナンス・コード改定が迷走」参照)。法令上の義務ではないものの、上場会社等に対して「Comply or Explain」(従うか、従わない場合にはその理由を説明せよ)が求められている。

 日本でも、今年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014を踏まえ、金融庁と東京証券取引所が事務局となり「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」(座長:池尾和人慶應義塾大学経済学部教授)を設置し、コーポレートガバナンス・コードの策定に着手している。金融庁と東京証券取引所は年度内にも同コードを決定し、平成27年6月総会での活用を求める方針を打ち出している(2014年5月19日のニュース「大人数の取締役会はNG?「コーポレートガバナンス・コード」制定の動き」参照)。

 このコーポレートガバナンス・コード策定に関して今後議論を呼びそうなのが、独立役員の「複数」選任を盛り込むかどうかという点。自民党の日本経済再生本部が5月にまとめた「日本再生ビジョン」では、「取締役である独立役員を少なくとも2名以上確保しない場合、当該事業年度に関する定時株主総会において、取締役である独立役員を少なくとも2名以上置くことが“相当でない理由”を説明しなければならない」と明記されているからだ。

 同取引所の調査によると、全上場会社のうち独立取締役を2人以上選任している会社は390社(21.5%)に過ぎない。上述の通り、コーポレートガバナンス・コードは法令上の義務ではないが、東京証券取引所では上場規則に規定する方針を示しており、事実上の規範性を有することになる。したがって、独立取締役の複数選任が盛り込まれた場合には、多くの上場会社が独立取締役の追加選任を迫られることになろう。

 もう1点、議論を呼びそうなのが、経済産業省が検討している株主総会の開催日や基準日*の設定だ。上述した「日本再興戦略」改訂2014では、「企業と投資家との対話の促進の観点から、株主総会の開催日や基準日の設定等について国際的な状況を踏まえてその運用の在り方についての検討を行うとともに、産業関係団体等におけるガイドラインの検討を行う」ことが明記されている。これは、要するに定時株主総会の開催時期をずらすことにより投資家との対話を促進することを狙いとするものだが、そもそも会社法上そのようなことが可能なのかとの疑問を持つ向きもあろう。

* その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受けるといった株主の権利を享受できる、という日

 3月決算会社を例にとると、多くの会社が定款で定時株主総会の基準日を3月31日と規定している。ただ、会社法上は「事業年度の終了後一定の時期」に定時株主総会を開催すればよいとされているため、定款を変更して基準日を期末日より後の別の日(たとえば4月末)に定めておけば、6月末までに定時株主総会を開催しなくても会社法違反にはならない。もっとも、会社法においては、基準日から3か月以内に株主総会を開催しなければならないと定められている。そこで、基準日が4月末であれば7月末までに定時株主総会を開催すればよいことになる。“早期化”とは逆向きの、いわば“遅延化”である。

 ここで気になるのが、「株主総会の遅延化により、決算スケジュールも遅延化できるのか?」である。まず、・・・

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