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集団訴訟を防ぐリコールと防がないリコール

 自社製品の欠陥等が販売後に発見され、メーカーや販売会社がリコールを行うケースは後を絶たない。特に精密機械ほど、100%リコールを防ぐのは容易ではないだろう。

 それだけに、メーカーや販売会社にとしては、リコールと昨年(2013年)秋の臨時国会で成立した「消費者裁判手続特例法」(いわゆる集団訴訟法)との関係が気になるところ。リコールを行った企業に対して集団訴訟が提起されるとしたら、企業にとっては大きな脅威になる。

 集団訴訟法に対しては、濫訴*で悪名高いアメリカのクラスアクションのような現象が日本でも起こるのではないかとの懸念が企業から出されてきた(2014年3月19日「集団訴訟の対象とならないためにやるべきこととは?」および同7月16日「個人情報の漏洩は集団訴訟の対象になるか?」に関連のニュース記事)。こうした懸念を踏まえ、集団訴訟法では、訴訟を提起できる主体を政府から認定を受けた「特定適格消費者団体」に限定している。さらに、特定適格消費者団体による濫訴を防止するため、「不当な目的でみだりに」訴えを提起してはならないとの規定も設けており(同法72条)、これに違反した団体は消費者庁から改善命令を受けるほか、特定認定が取り消されることもある。

* むやみやたらに訴訟を起こすこと

 では、「不当な目的でみだりに」とは一体どういう状態を指すのだろうか。仮にリコールを実施している場合に訴訟を提起することがこの「不当な目的でみだりに」に該当するのであれば、企業にとってはありがたい話と言える。なぜなら、迅速なリコール対応さえしておけば、特定適格消費者団体から訴訟を提起されることはないからだ。

 この点については、現在消費者庁の「特定適格消費者団体の認定・監督に関する指針等検討会」で検討が行われているが、結論から言うと、・・・

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