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内部通報制度を機能させるための「範囲外共有」防止策

2021年10月25日のニュース「内部公益通報指針の解説が公表、既存制度は早目にアップデートを」でお伝えしたとおり、来年(2022年)6月1日からの改正公益通報者保護法の施行までに、企業は自社の内部通報制度を同法が求めるレベルの内容にアップデートする必要があるが、アップデート後の内部通報制度で従来以上に求められるのが「通報者を守る」ということだ。

通報者を守るためには、公益通報対応業務を行う「従事者」でない者に公益通報の内容が漏れること(これを「範囲外共有」という)を防ぐ必要がある。従事者自身が情報漏洩を行えば(正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らせば)刑事罰(改正公益通報者保護法12条の守秘義務違反として同法21条に基づき30万円以下の罰金)を科されるため、これが一定の抑止力として働くが、改正公益通報者保護法上、従事者以外の者による通報者の特定につながる情報の範囲外共有には罰則があるわけではない。自分が公益通報したことが「範囲外共有」、すなわち従事者以外の者に知られる懸念があるとなれば、誰しも公益通報を行うことを躊躇するため、内部通報制度そのものが機能しなくなりかねない。その意味で、範囲外共有の防止こそが、内部通報制度を支える重要な“柱”と言えるだろう。

従事者 : 内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者(改正公益通報者保護法11条1項)

ただ、ここで問題となるのが、そもそも「範囲外共有」における「範囲」とは何を指すのかという点だ。この点は、・・・

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