コロナ禍で業績が低迷し資金繰りが悪化したものの、雇用調整助成金(コロナ特例)の受給で一息付くことができたという上場会社は少なくないだろう。ようやくコロナ禍が終息しつつある中、コロナ特例を用いた雇用調整助成金の支給は2023年3月末で終了し、現在ではコロナ特例がない雇用調整助成金のみが制度として存在しており、厚生労働省(労働局)は、コロナ特例終了に伴い、過去の雇用調整助成金の受給申請内容に不正がなかったかどうかの調査を強化するというステージに移行している(この点に関する厚生労働省のパンフレットはこちら)。実際、雇用調整助成金の不正受給は続々と発覚している。東京商工リサーチの調査によると、虚偽申請などで不正受給があったとして厚生労働省より社名等を公表された会社は全国で516社(そのうち2回公表されたのは3社)あり、不正受給金額は総額で163億2,020万円に達している。雇用調整助成金を返還した上場会社は7社で、そのうち3社は不正によるものであった(東京商工リサーチによる調査結果参照)。
雇用調整助成金(コロナ特例) : 新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するもの。コロナ特例では計画届を提出不要とするなど簡易な申請が認められていた。
不正受給が発覚した上場会社の一つが東証スタンダードに上場している・・・
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