上場会社で従業員による不正な経費精算が発覚しても、それが全て外部に公表されるとは限らない。不正金額が僅少であれば社内ルールに則って淡々と処分されるだけであり、利益にさほど影響がない事案まで逐一外部に公表することはないのが通常だ。しかし、経営トップによる不正経費精算となると話は変わってくる。株主目線からすれば、経営トップの不祥事は経営トップの資質を判断するためにすべて公表して欲しいと考えるのが当然だからだ。もっとも、経営トップによる経費の不適切利用だからといって、その内容や金額にかかわらずすべて公表しなければならないという開示ルールは存在しない。公表・非公表の線引きは悪質さの程度や金額的重要性などに応じて会社ごとの判断に委ねられているのが実状だが、不正に該当するかどうかの判断が難しかったり、金額が僅少であったり、あるいは返金されたことを理由に公表しないという苦渋の判断をした上場会社も少なくないものと思われる。
こうした中、自社の社長による不正の公表に踏み切ったのが、東証プライム市場に上場している・・・
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