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投資家がROEにこだわる理由

 国内外の投資家が企業に対し、皆口をそろえてROE(株主資本利益率)の向上を求めている。なぜ投資家はこれほどまでにROEにこだわるのか、企業からは疑問の声も聞こえて来る。

 周知のとおり、ROEとは当期純利益を株主(自己)資本で割ったものである。当期純利益は株主の利益であり、株主資本は株主の投資額であることから、ROEは投資家にとっての「収益率」と言える。銀行借入と対比してみると、銀行(債権者)にとっては、支払利息が「利益」、借入金が「投資額」であり、利子率が「収益率」に当たる。つまり、投資家にとってROEは銀行借入における利子率に相当することになる。銀行が利子率を重視するように、投資家にとってROEが極めて重要な指標であるというのもうなずけるところだ。

 昨年(2014年)8月に公表された伊藤レポートでは、グローバルな機関投資家が日本企業に期待する資本コスト(投資家が求めるリターンの最低水準。ROEと資本コストとの差が、株主価値の創出部分となる。詳細は新用語難解用語辞典「ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法」参照)の平均が7%超であるとの調査結果を踏まえ、「最低限8%」のROEを目指すことを説いているが、この数字を見て「銀行借り入れよりもすいぶん高いのでは」と感じる向きもあろう。しかし、・・・

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