コーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下、CG報告書)にコーポレートガバナンス・コードへの対応を記載しなければならなくなったことにより、その読者層が大幅に拡大している。従来は機関投資家の中でも「議決権行使担当者」が主な読者だったが、これからはファンドマネージャーやアナリスト、さらには個人投資家も読者として想定しておくことが必要となる。CG報告書の作成担当者には、読者の広がりを意識した分かりやすい記載が求められる。また、長期的な視点で投資を行う投資家は“定点観測”ではなく、企業がどのようにガバナンスを改善してきているかという“流れ”、具体的には過去5年程度のガバナンスの変化を理解しようとすることになる。したがって、作成担当者は、今後は「変化」と「改善の方向性」を意識的に記載するよう心掛けるべきだろう。
このように、投資家はガバナンスの改善により企業の成長が促進されることを期待しているのであり、必ずしも「記載の上手さ」を求めているわけではない。とはいえ、CG報告書は注目度が高い資料であるだけに、“つまらないミス”により評価を下げることは避けたいところだ。実際、既に公表されているCG報告書を見ると、基本的な記載要領を誤解している会社が散見される。
コーポレートガバナンス・コードの全ての原則を遵守している場合には、・・・
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