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変化するCSR

 サステナビリティ投資を推進する国際機関であるグローバル・サステナブル・インベストメント・アライアンス(Global Sustainable Investment Alliance)によると、2014年における機関投資家によるサステナビリティ投資の運用資産額は21兆4000億ドル(約2,500兆円)に達している。これは機関投資家の運用資産総額の約3割を占める。昨年(2015年)9月16日にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国連のPRI(Principles for Responsible Investment=責任投資原則) に署名したが、英国では主要なアセットオーナー(年金基金など)は運用機関に対してスチュワードシップ・コードの受入れと国連PRIへの署名を委託にあっての要件としており、日本でもアセットオーナーによるPRIへの署名や、署名を委託先運用機関に求める動きが加速することが予想される。


アセットオーナー : 年金基金をはじめとする、資産(アセット)を保有する者のこと。
PRI : 機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するもの。これに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。

 ところで、サステナビリティに関連する言葉として「SRI」と「ESG」があるが、両者の意味は異なる。SRI(Socially responsible investmentまたはSustainable and Responsible Investmentとされる。詳細は後述)は「社会的責任投資」と訳され、企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)への取組みを考慮して行う投資手法を指す。すなわち、持続可能な社会を構築することを目的に、企業のCSRへの取り組みを積極的に評価し、投資先を選別するのがSRIである。一方、投資にあたって「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の3つの要素を考慮する「ESG投資」は、あくまで中長期的に見て投資収益を拡大するための投資手法と位置付けられている。つまり、SRI とESG投資はともに社会的に良いと認められる事業活動を行っている企業に投資しようという点では共通しているものの、SRIは「倫理観」に基づき、投資を通じて社会を良くすることが目的であるのに対して、ESG投資は環境・社会・ガバナンスに十分配慮出来ている企業に投資をすることは長期的な企業価値向上やリスクの低減につながるという考え方に基づいて行われる。

 これまでの日本企業のCSRは、・・・

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