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子会社の「のれん」、不要な減損に終止符も

マイナス金利の導入により手元資金が潤沢になった日本企業によるM&Aが活発化するというシナリオも考えられる(期待される)ところだが、 “失敗”も付きものなのがM&Aだ。巨額の資金を投じて買収した子会社の業績が上がらず、当該子会社の株式を会計上「減損」しなければならないことは珍しくない。

減損 : 固定資産の価格や収益性が著しく低下している場合に、固定資産の簿価を時価まで減額する処理のこと。

この場合に注意しなければならないのは、(M&Aにより取得した子会社に限った話ではないが)保有する子会社株式を減損処理した場合には、連結財務諸表上の「のれん」も合わせて減損することが求められている点だ(日本公認会計士協会の「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」32項)。子会社株式のみならず、関連会社()株式を減損処理した場合も同様の処理が求められる(同協会の「持分法会計に関する実務指針」9項なお書き)。

 自社との関係で、人事、技術、取引、資本等によって、支配とはいわないまでも、意思決定に重大な影響力をもつことができる会社。議決権の20%以上50%未満を所有している会社などが該当する。ケーススタディ「連結子会社の範囲を見直したい」の「「子会社」と「関連会社」の違いはどこにある?」や「SPCや組合を使った“連結外し”は事実上不可能」を参照。

のれん : 企業買収において被買収企業の実質価額(純資産額)と買収価額との間に差額がある場合、その差額を「のれん」という。ある企業を買収する場合には、被買収企業に何らかの超過収益力(技術力、販売網、優秀な人材等)となる要因があり、将来的にこの部分が利益に貢献すると考えて買収に至るのが通常であるため、のれんが発生するのが一般的。

要するに、子会社や関連会社の株式を減損した場合には企業グループとしての超過収益力(プレミアム)である「のれん」も毀損するのだから、その分は減損すべきというわけだが、子会社等の株式の減損処理に伴って“機械的に”連結グループの「のれん」を減損することに対しては疑問の声もある。というのも、・・・

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