東証が先週金曜日(2016年6月21日)に公表した「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況<速報>」によると、東証一部上場会社のうち独立社外取締役を選任している会社は96.2%にも達している。これは「2016年6月16日までに提出された独立役員届出書のデータ」を加味したもの。独立役員届出書は株主総会の2週間前までに提出しなければならないため、今6月総会における独立社外取締役の選任も反映した数値が「96.2%」ということになる。
独立社外取締役を選任している東証一部上場会社の比率は、一昨年(2014年)は61.4%にとどまっていたものの、独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンス・コードが導入された昨年(2015年)には87.0%になり、同コード導入2年目には100%に迫ることになったわけだが、これはあくまで独立社外取締役を“1名”以上選任している東証一部上場会社の比率に過ぎない。コーポレートガバナンス・コードの原則4-8が求める「少なくとも2名以上」の独立社外取締役を選任している上場会社となると、一気に77.9%まで20%近く減少する。つまり、東証一部上場会社のうち5社に1社以上の会社が、原則4-8をコンプライできない理由をコーポレート・ガバナンス報告書で開示しなければならないことになる。さらに東証二部上場会社では、独立社外取締役を“1名”以上選任している会社は89.3%、2名以上選任している会社となると53.5%にまで落ち込む。
独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンス・コード : コーポレートガバナンス・コードでは、本則市場(一部・二部)の上場会社に、「独立社外取締役の役割・責務」(原則4-7)や「少なくとも2名以上の独立社外取締役の選任」(原則4-8)について、コンプライ(順守)すること、あるいは(コンプライできない場合は)エクスプレイン(説明)すること、のいずれかの対応を求めている。
ちなみに、コーポレートガバナンス・コードのうち「基本原則」のみが適用されている新興市場の状況を見ると、マザーズでは、独立社外取締役を“1名”以上選任している会社は79.4%、2名以上選任している会社は26.8%、JASDAQでは、“1名”以上選任している会社が67.6%、2名以上選任している会社は21.9%となっている。本則市場(一部・二部)へのステップアップ市場と位置付けられているマザーズの方がJASDAQよりも選任率が高いとはいえ、やはりコーポレートガバナンス・コードの原則4-8の適用を受けないということで、独立社外取締役選任のインセンティブが低い面は否定しがたいと言えそうだ。
新興市場はさておき、東証一部・二部上場会社では、コーポレートガバナンス・コードを順守できなければ「エクスプレイン」が求められることになる。3月決算会社では例えば下表の会社が独立社外取締役を選任していない状況となっており、それぞれエクスプレインを行っている。・・・
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