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企業年金のスチュワードシップコード受入れでエンゲージメント活発化も

スチュワードシップ・コードが導入(2014年2月~)されてから間もなく2年半が経つが、運用会社によるエンゲージメント(企業との対話)活動はまだ十分でないとの声も聞かれる。金融庁が開催している「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」でも、「機関投資家には、企業側に「気づき」を与える実質的な対話を行うことが求められるが、形式的な対話が増加し、機関投資家による経営理念等への理解が不十分なケースがある」といった、エンゲージメント活動への不満を指摘する意見が出ている。

こうした中、先月(平成28年6月)2日に政府が閣議決定した「日本再興戦略2016」の中には、「企業年金等の改善」として「年金基金等において、スチュワードシップ・コードの受入れの促進など、コーポレートガバナンスの実効性の向上に向けた取組を通じて、加入者等の老後所得の充実を図る。」との一文が入っている(162ぺージの一番下)。

日本がスチュワードシップ・コードを”輸入”した英国でも、運用会社が真剣にスチュワードシップ活動に取り組むには、運用会社のみならず、その顧客である年金基金など「アセット・オーナー」自身もスチュワードシップ・コードの受入れを表明し、これにコミットしていることが重要だと言われてきた。しかし日本では、GPIFをはじめとする公的年金による受入れ表明は進んでいるものの、企業年金は、メガバンク系やセコムなど一部を除き、スチュワードシップ・コードの受入表明に慎重な姿勢をとってきた。政府の狙いは、企業年金にもスチュワードシップ・コードを受け入れさせることで、結果的に運用会社による「エンゲージメント活動」を強化することにあると見られる。

アセット・オーナー : 年金基金をはじめとする、資産(アセット)を保有する者のこと。

ただ、気になるのは企業年金側の対応だ。これまで・・・

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