国内外の機関投資家が議決権行使のスタンスを厳格化している。この背景には、大部分の機関投資家が受入れているスチュワードシップ・コードの指針5-4が、機関投資家の議決権行使について「自らの責任と判断の下で」行使すべきとし、また「議決権行使助言会社の助言に機械的に依拠する」ことを戒めているという事情がある。また、スチュワードシップ責任を果たしていると運用委託元(年金基金など)に報告する際には、「議決権行使助言会社よりも厳しい基準に従って議決権を行使した」と説明した方が評価を受けやすいのではないか、との思惑も影響しているのだろう。
スチュワードシップ責任 : 機関投資家が、投資先の企業やその事業環境などへの深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任のこと。
2016年6月の株主総会シーズンでは、議決権行使厳格化の実例として、例えば以下のような議案に対し反対票が投じられたケースが出ている(ISS基準よりも厳しいと思われるものを抽出)。・・・
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