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議決権不行使率上昇の背景と対策

株主総会における議決権の行使は、株主の「権利」である。「権利」だけに、株主はそれを行使しない(議決権の不行使)こともできる。株主が議決権を行使しないという状況を会社の立場から見ると、少なくとも会社提案の議案に反対されることはないというメリットはあるものの、議決権を行使しない株主が増えると特別決議における定足数()を満たさなくなるおそれが高まり、定款変更や合併決議ができなくなりかねないというデメリットもある。経営陣にとってはまさに“痛し痒し”と言える。

 株主総会決議が有効なものとなるために最低限必要な出席議決権数のこと。定足数要件を満たさない株主総会決議は無効となる。特別決議の定足数要件は「総株主の議決権の過半数」が原則だが、定款で定めることで例外的に定足数を「議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1」まで引き下げることが可能であるため、多くの上場企業が定款で特別決議の定足数を3分の1まで引き下げている。

株主が議決権を行使しない理由は様々だ。まず、「そもそも議決権行使に興味がない」というものである。短期的な売り買いや配当にしか興味を持たないデイトレーダーやヘッジファンドが議決権を行使しない理由がこれだ。また、「議決権行使には興味がないわけではないが、面倒くさい」という個人投資家も少なくない。一方、機関投資家は「あえて行使しない」という選択をすることがありうる。特に議決権不行使が目立つのが、・・・

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