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「働き方改革」としての四半期開示のあり方

政府や経済界は「働き方改革」に力を入れているが(働き方改革の詳細は【2017年2月の課題】働き方改革への対応参照)、ある上場企業のCFOが「最も働き方改革が必要な部門の一つ」と指摘するのが経理部門だ。

CFO以外の経営陣は意外と認識していないかもしれないが、経理部門の1年は激務とともに過ぎていく。もっともボリュームの大きい作業は年度決算であり、3月決算会社の場合、期末日より2~3週間前から棚卸の準備(棚卸のスケジュールについてはケーススタディ「棚卸を適正に行いたい」の「棚卸手続きの一般的な流れを確認」を参照)が始まり、4月中に連結決算を概ね終え、5月中旬までには決算短信を提出、その後、税務申告書の作成、招集通知の作成、有価証券報告書の作成と、6月の定時株主総会まで忙しい日々が続く。また、本決算と並行して毎月の月次決算もこなさなければならない。さらに経理部門を悩ますのが「四半期開示」だ。株主総会終了後、束の間の閑散期を経て、7月上旬からは第1四半期決算作業が8月上旬まで続き、10月上旬から11月上旬までは第2四半期決算作業、1月上旬から2月上旬までは第3四半期決算作業がある。昔を知るベテラン経理部員は「四半期開示を求められていなかった頃は繁閑のメリハリがあったが、昨今は忙しい日々が年中続く」と嘆く。四半期開示が上場企業の経理部門にとって大きな負担となっているのは間違いないだろう。

政府の未来投資会議が(2017年)6月9日に閣議決定した「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革―」では、「企業の情報開示」がテーマの一つとなっており、その中には当然四半期開示も含まれる。四半期開示で問題となっているのは、・・・

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未来投資会議 : AI(人口知能)やIoT(Internet of Things=モノのインターネット:あらゆるモノがインターネットで接続される状態)などの第4次産業革命をはじめとする将来の成長に資する分野における大胆な投資を官民連携して進めるとともに、「未来への投資」の拡大に向けた成長戦略と構造改革を加速させるために首相官邸に設けられた会議体。「日本再興戦略2016」(2016年6月2日閣議決定)に盛り込まれた「第4次産業革命官民会議」の役割も果たしている。

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