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黒田電気と川崎汽船の明暗を分けたもの

今年の株主総会シーズンで最も注目を集めた企業は、黒田電気と川崎汽船だったのではないだろうか。いずれも筆頭株主が村上ファンド系の投資会社であるということに加え、ISSが、黒田電気に対する株主提案(社外取締役の選任)に賛成、川崎汽船の取締役選任議案(会長と社長の選任議案)には反対と、いずれも会社側に不利な判断をしたという共通点があった。

ところが、結果は明暗が分かれた。黒田電気の株主提案は賛成率58.6%で可決(=会社側の主張が株主の支持を得られなかった)された一方、川崎汽船の取締役選任議案は97%を超える高い賛成率(会長97.3%、社長97.2%)で可決(=会社側の主張が広く株主に認められた)のである。

両社の株主構成を確認してみると、黒田電気は筆頭株主のレノが37.2%(共同保有を含む)、川崎汽船は筆頭株主のエフィッシモが38.4%と、いずれも4割近い圧倒的な議決権を有している。もっとも、両筆頭株主とも単独で過半数を占めるには至っておらず、キャスティング・ボートは一般株主が握っていた。

黒田電気の場合、レノによる賛成は避けられなかったとしても、その他の機関投資家や個人株主から会社側の主張に対する賛同を得られれば、株主提案が過半数の賛成を得ることはなかった。しかし結果としては、少なくとも(レノ以外の)約20%に相当する株主が賛成に回ったことで、株主提案は有効に成立するに至っている。

一方、川崎汽船においては、高い賛成率を見ればエフィッシモが支持に回ったことは明らかであり、さらに大部分の株主から賛成票を得ることに成功している。なぜこのような差が生じたのかは、・・・

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