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株主提案を招きかねない「政策保有の議決権行使基準」とは?

上場企業はコーポレートガバナンス・コードの各原則について「コンプライorエクスプレイン」の対応を求められているが、コンプライとエクスプレインの境界が明確でないコードも多く、結局、そのようなコードをコンプライしているとするかどうかは上場企業の自己判断によっている。そして、いったんコンプライを表明すると問題の所在が見えにくくなる恐れがあり、多少の問題があったとしてもそのことを忘れ、あたかも問題が解決したかのような錯覚を抱きがちだ。政策保有株式について定める原則1-4はその代表例と言える。

【原則1-4.いわゆる政策保有株式】
上場会社がいわゆる政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で主要な政策保有についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性について具体的な説明を行うべきである。
上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための基準を策定・開示すべきである。

コーポレートガバナンス・コード原則1-4をコンプライしている東証上場企業は、2017年7月現在で96.85%に上っている(東証が9月5日に公表した「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況 (2017年7月14日時点)」の3ページを参照)。しかし、たとえコンプライを表明した上場企業であっても、コーポレート・ガバナンス報告書での説明が不十分だと、それに起因して投資家による株主提案議案の上程を招きかねないことには注意すべきだ。・・・

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