印刷する 印刷する

収益認識基準、最後は“政治決着” 有償支給の在庫は連単で異なる処理可

企業に大きな影響を与える売上の計上ルールを変える新たな会計基準「収益認識に関する会計基準」が間もなく正式に決定され、企業会計基準委員会(ASBJ)が近日中に開催する予定の次回の委員会で公表される見通しとなっているが(適用は2021年4月1日以後開始する会計年度の期首から)、その中でパブリックコメント時にメーカーを中心に多くの企業から反対意見が寄せられていたのが、有償支給取引の会計処理だ(反対意見の詳細等は2017年12月1日のニュース「有償支給が支給先からの融資に? 収益認識基準で製造業に広範な影響も」参照)。

有償支給取引 : 企業が、対価と交換に原材料等を外注先に譲渡し、外注先における加工終了後、当該外注先から当該支給品を購入すること。自動車メーカー、電機メーカーなどの製造業を中心に広く行われている。

簡単におさらいしておくと、そもそもこの問題の前提として、「売主から買主への“支配の移転”の時に収益を認識する」という新たな収益認識会計基準のルールがある。メーカー等(発注元)はこれまで、外注先(下請先など支給品を受け取って加工する側)に支給した部品・素材の在庫を当該支給時に減らしてきた(ただし、支給時には収益(売上)は認識せず、完成品の代金から差し引く(相殺する)ケースが多い)。ところが、新たな収益認識のルールの公開草案では、有償支給取引では「有償支給品への支配が売主から買主へ移転していない」として在庫を減らすことを認めずに、これを外注先が発注元にあたかも金銭を貸し付けたかのように処理する「金融取引」として扱い、発注元に外注先への「金融負債」の認識(金額は有償支給額)を求める案になっていた。

この案にメーカー等が猛反発したのは上述のとおりだが、これを受け企業会計基準委員会(ASBJ)は3月9日に委員会を開催し、メーカー等の要望を受け入れる形で、従来の会計処理をおおむね認めることとなった。具体的には、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから