3月期決算会社の株主総会が近づいてきている。最近はマスコミを賑わすような支配権争奪を巡る大規模な争いは生じていないが、代わって注目を集めているのが、個人株主による“株主提案権”行使の動向である。
株主には、株主総会で議題とされている事項について議案を提出する権利が会社法で認められている(会社法304条)。例えば、定時株主総会の「取締役選任の件」といった議題に対して、株主は他の取締役の選任を議案として求めることができる。そして、取締役会設置会社では、株主のうち「6か月前から総株主の議決権の100の1以上の議決権を有する者」または「6か月前から総株主の議決権の300個以上の議決権を有する者」は、会社に対し、株主に対する議案の要領の通知を請求することができる(同法305条1項ただし書)。
もっとも、2012年の株主総会では、奇をてらった商号の略称変更を求めたケースや1人の株主から多数の株主提案がなされたことが問題になった。特に後者のケースでは、会社側がそのすべての提案を招集通知や株主総会参考書類に記載することを拒否したことから、裁判に至った。会社法上、法令や定款に反しない限り、株主提案の内容や、1名の株主が行使することができる株主提案の数に制限はないことから、株主提案権を制限すること可否が問題になるわけだ。
裁判所は、株主提案権の行使が・・・
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