従来から統合報告書を公表してきた日本の上場企業の多くが作成の拠り所としてきたのが、GRI(Global Reporting Initiative=グローバル・レポーティング・イニシアティブ)のガイドラインや、IIRC(国際統合報告評議会= International Integrated Reporting Council)のIIRCフレームワークだが、日本版・統合報告フレームワークとも言えるのが、経済産業省が昨年(2017年)5月に公表した「価値協創ガイダンス」だ(非情報の開示の指針については「【2017年9月の課題】非財務情報の準備」の解答も参照)。
統合報告書 : 統合報告とは「企業の持続的な成長を伝えるプロセス」であり、統合報告書は統合報告の成果物(アウトプット)を指す。
IRC(International Integrated Reporting Council=国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」では、統合報告を「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義している。具体的には、ビジネス上の様々な問題にどう対処するのか、自社の将来性をどうとらえているのか、中長期的な経営戦略をどう描くのか、どのように長期的な企業価値を作り出そうとしているのか、といった内容の報告であり、そこには「非財務情報」が多数含まれる。
GRI : GRIは地球環境問題の深刻化を背景に1997年、国連傘下のNGOとして設立された。当初は環境報告書の国際基準を策定することを目的にしていたが、その後、「経済」「環境」「社会」の3つの側面から企業を評価するトリプルボトムラインの考え方を採用することで、GRIのガイドラインは持続可能性(サステナビリティ)報告書の指針となった。
IIRC : 国際的に合意された統合報告のフレームワークを構築するため、2010年8月に設立された英国を拠点とする民間の非営利法人。規制当局、投資家、企業、会計の専門家、NGOにより構成される国際的な連合組織である。また、IFAC(国際会計士連盟)、IASB(国際会計基準審議会)などとも協力関係にある。
日本企業の間では、価値協創ガイダンスは既にGRIやIIRCといった海外のフレームワークよりも活用が進んでいるとの調査結果もあるが(2018年4月20日 日本IR協議会調査結果13~16ページ参照)、経済産業省が価値協創ガイダンスに基づく統合報告書の作成を促進する新たな取り組みを開始する。・・・
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