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投資家によるエンゲージメント(対話)の活発化で企業側に求められること

 かねてから金融庁が検討してきた、機関投資家が受託者責任を適切に果たすための行動原則である「日本版スチュワードシップ・コード」が2014年2月に確立したことに伴い、「企業と投資家の建設的な対話」(以下、エンゲージメント)が、6月の株主総会を控えて注目されている。投資家サイドからは、例年以上に、ROE向上や株主還元を求めるレターの送付や、中長期戦略に関する経営トップとの面談依頼など、企業に対するアクションが活発化していると推察される。

 投資家との間における「建設的な対話」を進めるうえで、企業側において何よりも重要なことは、対話の相手としての投資家を「過小評価」しないことだ。エンゲージメントの場では、企業側(役員、担当者)の発言や態度の端々に、「投資家にビジネスのことは分からない」「企業を経営した経験がない」「投資収益さえ上がれば会社がどうなっても関係ないのでは」といったニュアンスが感じられることが少なくない。

 実際、企業と「建設的な対話」をしようという意識が欠如した投資家も存在することは否定できない。しかし、多くの投資家は、企業側が考えている以上に真摯に、企業の行く末を真剣に議論したいと考えている。そのような投資家が投げかけた質問に対し、企業側が「理解不足だ」と決めつけて十分な回答を示さないのでは、建設的な対話など望むべくもないだろう。

 実際にエンゲージメントの場であったやり取りとしては、例えば以下のようなものがある。

(ケース1)・・・

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