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補充原則1-4①、取引先の開示内容をチェックする必要

(2018年)6月1日から施行されている改訂コーポレートガバナンス・コードの中で、機関投資家が最も注目している原則の1つに挙げられるのが、今回新設された補充原則1-4①(政策保有株主による自社株式の売却意向への対応)だ。

補充原則1-4①
上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有株主)からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆することなどにより、売却等を妨げるべきではない。

金融機関においては自己資本比率規制などもあり相当程度政策保有株式の売却が進んだが、事業会社間における政策保有は依然として高水準にある。これに対し、機関投資家はしばしば不満を示してきた。補充原則1-4①の導入は、このような機関投資家の声に応えたものと言える。

自己資本比率規制 : リスク資産と自己資本の比率。自己資本比率規制は金融機関の健全性を保つことを目的としており、リスク資産の保有を抑制する効果がある。

実際、エンゲージメント(投資家と企業の対話)の場において、機関投資家が企業に政策保有株式の縮減を求めるケースは少なくない。しかし、企業から縮減に前向きな発言を引き出すことは難しく、「そうは言っても相手があることだし、取引に支障が出ては困る」などと、往々にして矛先を逸らされるようだ。こうした中、補充原則1-4①の新設により、機関投資家は、「そのような企業(政策保有株式の売却を阻止しようとする企業)は補充原則1-4①に反している」と言うことができるようになった。逆に言うと、企業としては「相手が売るなと言っているので」といった言い訳がしにくくなったわけだ。もっとも、補充原則1-4①はガバナンス報告書で「開示」が求められる原則ではないため、必ずしも企業側から積極的に取り組み方針を打ち出す必要はなく、また、多くの企業においてはそのようなインセンティブも存在しないのが実態だろう。こうした中、任意で同原則への取り組みを開示した企業が現れたので紹介しよう。

まずは・・・

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