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投資家との実りある対話のために企業ができること

コーポレートガバナンス・コードが企業に投資家との建設的な対話(基本原則3)を求めて以来、経営者を中心とした企業と機関投資家の対話の機会は増えているが、それに比例して企業から対話の内容について不満の声も高まっている。不満の多くは、「機関投資家の質問はあらかじめ用意したチェックボックスを埋めるための形式的なものばかりで、我々は機関投資家の“対話回数の実績作り”の相手をさせられているだけではないか」というものだ。

このような企業側からの批判への反省に加えて、より良い対話の実現に向けて、機関投資家の中でもアクティブファンド()の運営・投資判断を行う責任者が集い議論を重ねたうえで、2018年5月18日には「アクティブ・ファンドマネージャー宣言」が公表されている。

 機関投資家は、個別企業の株価が高いか安いかなどは考慮せずに例えば東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動した運用成果を目指す「パッシブ投資家」と、銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、成長が見込めなくなった銘柄を売却するなどして利益を得ようとする「アクティブ投資家」に大きく分かれる。企業との建設的な対話を尊重するのは「アクティブ投資家」の方である。

同宣言では、アクティブ・ファンドマネージャーに「対話することの自己目的化や対話の形骸化」を避けることを求める一方で、企業に対しても「価値協創ガイダンス」を踏まえた情報開示を求めている(「アクティブ・ファンドマネージャー宣言」や「価値協創ガイダンス」については2018年5月18日のニュース『統合報告書の「質」向上へ 経産省が新たな取り組み』および【2018年1月の課題】投資家が評価する実効的なコーポレートガバナンスを参照)。

同宣言を取りまとめたのは経済産業省に設置された統合報告・ESG対話フォーラム内のアクティブ・ファンドマネージャー分科会だが、同分科会は2018年6月25日に新たな報告書を公表している。この報告書の注目ポイントの一つが、・・・

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